自分でできる!小規模事業者持続化補助金の事業計画書の書き方徹底解説!【2022年版】

最大200万円が獲得できることで中小企業の経営者や個人事業主の方にオススメの小規模事業者持続化補助金。小規模事業者が行う販路開拓や生産性向上の取組に要する経費の一部を支援する制度で、多くの中小企業・個人事業主が活用しています。しかし、小規模事業者持続化補助金はものづくり補助金や事業再構築補助金と比較すると補助金額が少ないことからコンサルタントに依頼しても支援を断られてしまうということも少なくありません。

そこでこのページでは小規模事業者持続化補助金の事業計画書を自分で書けるようになるための方法をまとめて解説します。

はじめに

このページでは小規模事業者持続化補助金の中でも補助率が高く、特に注目されている「小規模事業者持続化補助金 賃金引上げ枠」で採択されるための事業計画を自分で作成する方法を解説します。

賃金引上げ枠ではない小規模事業者持続化補助金の書き方も大きくは変わりませんが、様式が異なることや審査項目が異なることにはご注意ください。

採択される事業計画の特徴を知る

補助金の事業計画書を作成する上で絶対に外せないのは「どんな事業計画が採択されるのかを知る」ことです。過去にどのような事業計画が採択されたかは小規模事業者持続化補助金の公式ページ(採択事例はこちら)に記載されているため、自分が導入を検討している設備やシステムの名称、自分のビジネスの業種や事業内容で検索してみると良いでしょう。

第1回小規模事業者持続化補助金 採択結果

次に、事業計画を採択するかどうかを決める基準である審査項目を把握する必要があります。審査項目も小規模事業者持続化補助金の公募要領(最新の公募要領はこちら)に記載されています。

審査の観点は①基礎審査と②書面審査、③加点項目の3段階での審査になっていることが記載されています。基礎審査に落ちるとその先の書面審査には進めないため、基礎審査の要件を自社が満たしているかどうかはよく注意しましょう。(このページでは事業計画書の書き方にフォーカスするため、それ以外の内容については深く解説しません)。

基礎審査の記載内容は次の通りです。

①必要な提出資料がすべて提出されていること
②「2.補助対象者」(P.5)・「3.補助対象事業」(P.6) ・「4.補助率等」(P.7)・「5.補助対象経費」(P.12)の要件及び記載内容に合致すること
③補助事業を遂行するために必要な能力を有すること
④小規模事業者が主体的に活動し、その技術やノウハウ等を基にした取組であること

補助対象者の要件に合致することや必要な書類がすべて提出されていることなどが条件として挙げられているので、申請前に最終確認を必ずしてください。このページでは事業計画書の書き方にフォーカスするため、要件やその他の必要書類については割愛します。

②書面審査の記載内容は次の通りです。

①自社の経営状況分析の妥当性
○自社の経営状況を適切に把握し、自社の製品・サービスや自社の強みも適切に把握しているか。
②経営方針・目標と今後のプランの適切性
○経営方針・目標と今後のプランは、自社の強みを踏まえているか。
○経営方針・目標と今後のプランは、対象とする市場(商圏)の特性を踏まえているか。
③補助事業計画の有効性
○補助事業計画は具体的で、当該小規模事業者にとって実現可能性が高いものとなっているか。
○地道な販路開拓を目指すものとして、補助事業計画は、経営計画の今後の方針・目標を達成するために必要かつ有効なものか。(共同申請の場合:補助事業計画が、全ての共同事業者における、それぞれの経営計画の今後の方針・目標を達成するために必要か。)
○補助事業計画に小規模事業者ならではの創意工夫の特徴があるか。
○補助事業計画には、ITを有効に活用する取り組みが見られるか。
④積算の透明・適切性
○補助事業計画に合致した事業実施に必要なものとなっているか。
○事業費の計上・積算が正確・明確で、真に必要な金額が計上されているか。

小規模事業者持続化補助金で採択されるためには上の審査項目を満たした事業計画を作成する必要があります。事業計画を書き始める前、書いている最中、書き終わった後それぞれのタイミングで、自社の事業計画が審査項目を満たしているかどうかを確認し、点数の取り漏らしを発生させないようご注意ください。

③加点項目の記載内容は次の通りです。

①パワーアップ型加点
以下の類型に即した事業計画を策定している事業者に対して、政策的観点から加点を行います。
○地域資源型
地域資源等を活用し、良いモノ・サービスを高く提供し、付加価値向上を図るため、地域外への販売や新規事業の立ち上げを行う計画
○地域コミュニティ型
地域の課題解決や暮らしの実需に応えるサービスを提供する小規模事業者による、地域内の需要喚起を目的とした取組等を行う計画
②赤字賃上げ加点
賃金引上げ枠に申請する事業者のうち、赤字である事業者(P.8の「業績が赤字の事業者に対する要件」を確認ください)に対して、採択審査時に政策的観点から加点(=赤字賃上げ加点)を行います。
③経営力向上計画加点
各受付締切回の基準日(別紙「参考資料」の P.9を参照)までに、中小企業等経営強化法に基づく「経営力向上計画」の認定を受けている事業者に対して、採択審査時に政策的観点から加点(=経営力向上計画加点)を行います。
④電子申請加点
補助金申請システム(名称:J グランツ)を用いて電子申請を行った事業者に対して、採択審査時に政策的観点から加点(=電子申請加点)を行います。
⑤事業承継加点
各受付締切回の基準日(別紙「参考資料」の P.9を参照)時点の代表者の年齢が満60歳以上の事業者で、かつ、後継者候補が補助事業を中心になって行う場合、採択審査時に政策的観点から加点(=事業承継加点)を行います。
⑥東日本大震災加点
東京電力福島第一原子力発電所の影響を受け、引き続き厳しい事業環境下にある事業者に対して、政策的観点から加点(=東日本大震災加点)を行います。
○東京電力福島第一原子力発電所の事故により避難指示等の対象となった福島県12市町村(田村市、南相馬市、川俣町、広野町、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村及び飯舘村)に所在する事業者に対して採択審査時に政策的観点から加点(=東日本大震災加点)を行います。
○東京電力福島第一原子力発電所における ALPS 処理水の処分に伴う風評影響を克服するため、新たな販路開拓等に取り組む太平洋沿岸部(北海道、青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県及び千葉県)に所在する水産仲買業者及び水産加工業者
⑦過疎地域加点
過疎地域という極めて厳しい経営環境の中で販路開拓等に取り組む事業者を重点支援する観点から、「過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法」に定める過疎地域に所在し、地域経済の持続的発展につながる取り組みを行う事業者に対して、採択審査時に政策的観点から加点(=過疎地域加点)を行います。
⑧災害加点
令和4年3月16日に発生した福島県沖を震源とする地震により災害救助法の適用を受け、局地的に多数の建物が崩壊するなど、再建が極めて困難な状況にある地域(宮城県、福島県(全94市町村))に所在する事業者に対して、採択審査時に政策的観点から加点(=災害加点)を行います。
⑨事業環境変化加点
ウクライナ情勢や原油価格、LP ガス価格等の高騰による影響を受けている事業者に対して、採択審査時に政策的観点から加点(=事業環境変化加点)を行います。

上記のような加点をすべて取りきることは難しいですが、「①パワーアップ型加点」「④電子申請加点」「⑨事業環境変化加点」はほとんどの方が取得できる加点になっているので、できるだけ取得するようにしましょう。

アイデアの整理、記載事項の洗い出し

採択されるためには要件を満たすこと、事業計画が審査項目を満たしていること、加点を取得できていることが重要であると分かりました。

次は事業計画書を書くにあたって必要な情報を列挙・整理しましょう。考えるべき情報は大まかには下のようになっています。

【経営計画関連】
☑自社の事業概要
☑自社の強み・弱み、課題
☑市場動向

☑今後の経営方針
【補助事業計画関連】
☑補助事業の概要・目的
☑具体的な取組内容、実現すること、期待できる効果
☑実施体制
☑実現可能性
☑スケジュール


これらの情報をできるだけ具体的に整理することで、後々実際に計画書を書く段階が簡単になります。

記載事項と審査項目の対応関係を考える

洗い出した記載事項が書面審査の審査項目とマッチしたものになっているかどうかを確認します。書面審査の項目と関係性が強い記載事項の対応表は下を参照してください。

小規模事業者持続化補助金 記載事項と審査項目の対応関係

多くの審査項目と対応している補助事業の概要や具体的取組み内容、今後の経営方針については、審査項目を満たした内容になっているか、よく注意して作成する必要があります。

各要素を関連づけてストーリーにする

いままでの作業で洗い出した記載事項をそれぞれ関連付け、並び替えます。その際には、事業計画書としてみたときに1つのストーリーになるように意識する必要があります。特に重要な要素ごとの対応関係を次にまとめます。

課題と補助事業概要の対応関係

補助事業(補助金を活用して行なう設備投資や開発)は自社が抱えている課題と連動させる必要があります。例えば、ホールスタッフの人員不足が課題である飲食店がモバイルオーダーシステムを導入したり、コロナの影響によって店舗売上が減少している和菓子屋がEC用に真空包装機を導入したりといった形です。

補助事業と自社の課題がリンクしているか、自社の課題は補助事業の実施によって解決されうるものとなっているかなどを見直しましょう。また同じように、今後の経営方針と補助事業の概要が対応しているかどうかも確認する必要があります。

具体的な取組内容と補助事業の効果の対応関係

補助事業で行なう具体的な取組と期待される効果の間に論理的な飛躍がないか、期待される効果が実現可能なものになっているかなどが重要になります。

事業計画書を書き進める

記載するべき事項を洗い出し、それぞれの対応関係を確認できたところでいよいよ書き進めます。前の作業を飛ばしていきなり書き始めると何度も書き直すことになったり、一貫性がなく審査員に伝わりにくい事業計画になってしまうので、記載事項の整理は必須です。
事業計画書の書き方は自由で弊社では「箇条書き」「文章で説明」「図や表を多めで説明」など事業計画に合わせて様々な書き方を使用して審査員に事業計画書の趣旨や取組み内容が伝わりやすいよう工夫しています。

小規模事業者持続化補助金 事業計画書レイアウトの例
レイアウトの一例

自社の概要の書き方

小規模事業者持続化補助金に限らず、多くの事業計画書において「自社の概要」の記載は必須といえます。自社の概要の書き方については、自社が「誰に」「何を」「どのように」提供しているかがわかりやすいように記載します。下記に新宿の中華料理屋をイメージして例文を記載します。

【自社の概要】
株式会社meditips(以下、当社)は2019年に創業し、新宿区揚場町で中華料理専門店「meditips」を経営している。メインターゲットは周辺オフィスのサラリーマンで、ランチタイムは1食1000円のランチ定食、ディナータイムは中華のおつまみとビールが特に人気である。コロナ前はレストラン内でのイートインのみを提供していたが、コロナ以降はテイクアウトやデリバリーにも対応しており、客層がサラリーマンだけでなく、周辺の住人にまで拡大している。

強み・課題の記載方法

強みや弱みの記載をする場合には小規模事業者持続化補助金の取り組みで活かせる強み、小規模事業者持続化補助金の取り組みで克服できる弱みの方がよいかと思います。例えば洋菓子店が新たに真空包装機を導入して保存がきく新商品を販売することで販路の拡大を図るようなケースでは「商品の日持ちが悪く、お土産としての購入が少ないこと」などを弱みにするとよいかと思います。

特に強みについては審査項目に「経営方針・目標と今後のプランは、自社の強みを踏まえているか。 」という項目もあるので、のちに記載する経営方針や今後のプランとの関連性にも気を付けて着さする必要があります。

市場の分析方法

事業計画書では市場の分析を行って自社を取り巻く環境の「機会」と「脅威」についても記載するとより説得力のある事業計画を作成できます。市場の分析方法ですが、「顧客の動向」と「競合の動向」の2つの視点から記載するとよいでしょう。

顧客の動向としては、「顧客のニーズがどう変化しているか(コロナでテイクアウトが増えた、不況で低価格なメニューが人気になった)」「顧客の数がどう変化しているか(在宅勤務の増加でオフィスワーカーの利用が減少した)」などが典型的かと思います。

また、競合の動向としては「近隣にパスタ専門店がOPENし、ランチ客を奪われている」「キャッシュレス化が進んでおり、QRコード決済を導入する店舗が増えている」など、競合の最近の活動について触れるとよいかと思います。また、市場の脅威として「物価が高騰している」なども典型的です。

経営方針・今後のプランの記載方法

経営方針・今後のプランでは「当社の○○という強みを活かし、新たに○○を開始する」といったように自社の強みを活かして今後具体的にどのような行動をとっていくのかがわかりやすいような記載にします。また、今後も成長する企業であることを示さないと補助金をもらう企業としてふさわしくないと考えられると思うので、今後の前向きな経営戦略を記載するようにしましょう。小規模事業者持続化補助金での取り組み内容がここに記載する経営方針・今後のプランの第一歩になるような記載にします。

販路開拓(生産性向上)の取り組み内容の記載方法

このセクションでは小規模事業者持続化補助金を活用してどのように販路を拡大するのかを記載します。先程の洋菓子店の例をとると、真空包装機を導入することで今までは顧客にできていなかったお土産を購入したい顧客層への展開によって販路拡大することを記載します。また、このセクションで導入する設備の詳細(導入する設備を活用することで何ができるようになるか、どんな課題を解決することができるのか)を記載します。

また、実施体制やスケジュールについてもここで記載しましょう。小規模事業者の場合、実施体制といってもほとんど代表の方が担当することになるかもしれませんが、その場合は代表の方だけで補助事業を十分に遂行することができる旨や外部の支援(導入する設備のメーカーサポートや認定支援機関などの支援)について記載することで十分な事業実施体制が整っていることがアピールできます。

補助事業の効果の記載方法

最後の補助事業の効果の記載では、尾の取り組みを行うことでどのように生産性を向上することができるのかを記載します。生産性はざっくり(付加価値額)/(労働時間)などと解釈して、補助事業を行うことでどのように付加価値額を高めるのか(差別化した製品で価格を上げて利益を増やす、原材料費を抑えて利益を増やす、など)やどのように労働時間を減らすのか(手書きで管理していた帳簿をデジタル化するなど)を記載します。

また、新規事業を立ち上げるようなケースではこの事業でどれくらいの売上、利益が上がるのかなども収益計算表を作成して定量的に補助事業の効果を示すのもおすすめです。

体裁を整える

審査はコンピューターではなく人が行い、審査員もたくさんの事業計画を限られた時間で審査しているため、短い時間で事業計画の概要が伝わりやすいように事業計画書の体裁を整えることも重要です。特に注意すべき部分は下記の通りです。

  1. 図や表の整列、幅の調整
  2. 文字の色、太さ、フォント
  3. インデント、段落

図や表のサイズがバラバラだったり整列されていないと雑然とした印象を与えてしまいますし、表の場合はどの項目が見出しなのか分からなくなってしまいます。

また、文字の色や太さを変えることで特に伝えたい重要な部分を強調することで斜め読みでも伝わりやすい文章にすることができます。なお、フォントについては事業計画の注意書きで「MS明朝」を使用することが指示されているのでMS明朝を使用します。

インデントや段落についての指示はありませんが、インデントはそろえて、段落は話題が変わる部分など適切な部分で変えるようにします。

審査項目の見直し

事業計画に記載すべき事項を書き終えたら審査項目を満たしたものになっているかどうかを再度見直します。事業計画を書いている途中では見逃してしまっていた審査項目が無いかチェックします。
見逃していた審査項目があった場合の加筆でオススメの方法は審査項目の文言をそのまま事業計画に書いてしまう方法です。例えば、対人接触機会の低減の項目が不足している場合には「本事業では〜~~~を実施するため対人接触機会の低減につながる」と記載することで、審査員にも審査項目を満たした事業計画であることが伝わりやすくなります。
このような方法ですべての審査項目を満たせていることが確認できれば事業計画書は完成です!

最後に

今回は小規模事業者持続化補助金の事業計画書を自分で作るために気をつけるべきことや具体的な方法について説明しました。小規模事業者持続化補助金の事業計画を自分で作成する際の一助となれば幸いです。

株式会社meditipsでは小規模事業者持続化補助金の他、ものづくり補助金や事業再構築補助金などの支援を行なっています。ものづくり補助金や事業再構築補助金は小規模事業者持続化補助金と比べて記載するべき事項が多岐にわたり、審査もより厳しくなるため、自分だけで事業計画を作成し、その後の手続きも行なうのは難しい場合もあります。

補助金についてお悩みのことがあればいつでもmeditipsまでご相談ください。

村上貴弘

村上貴弘

東京大学経済学部卒。行政書士。在学中にフリーランスのコンサルタントとして中小企業、士業事務所のコンサルティングを行なう。2019年株式会社meditips創業。2020年株式会社meditips取締役就任。2021年meditips行政書士事務所開業。現在はベンチャー企業やクリニック、飲食店、建設業など幅広い企業の支援を行なっている。

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