【最新】2023年版の事業再構築補助金の情報まとめ!ポイントを解説

2022年11月8日、令和4年度第2次補正予算案が閣議決定され、2023年の事業再構築補助金の全貌が見えてきました。今回は、令和4年度第2次補正予算案から2023年の事業再構築補助金の申請枠や補助上限について、わかっていることをまとめて解説していきます。

※2022年11月22日更新
成長枠が市場規模が10%以上拡大する業種・業態への転換を支援するものであることを追記しました。
産業構造転換枠が市場規模が10%以上縮小する業種・業態からの転換を支援するものであることを追記しました。

2023年も事業再構築補助金が実施されることがほぼ確実に

経済産業省関係令和4年度第2次補正予算案の事業概要には下記の資料が掲載されました。

2023年事業再構築補助金

出典:令和4年度第2次補正予算案の概要

資料によると中小企業等事業再構築促進事業(事業再構築補助金)の令和4年度補正予算案額は5,800億円とされています。前年に引き続きかなりの金額が計上されており、2023年も事業再構築補助金は中小企業にとってかなりおすすめできる補助金になるかと思います。

また、事業概要では申請類型についても概要が掲載されています。現時点で注目すべき変更点は下記のとおりです。

・緊急対策枠と回復再生応援枠が統合され、新たに「物価対策・回復応援枠」が設けられた。
・(おそらく)通常枠が「成長枠」に変更された
・「産業構造転換枠」が新設された
・「サプライチェーン強靭化枠」が新設された
・成長枠とグリーン成長枠には「卒業促進枠」と「大規模賃金引上促進枠」という上乗せ枠が設けられた

それぞれの変更点について、明らかになっていることを下記にまとめていきます。

「物価対策・回復応援枠」について

まずは「通常枠」についで多くの方が申請していた「緊急対策枠」と「回復・再生応援枠」の後継版ともいえるであろう「物価高騰対策・回復再生応援枠」についてです。

物価高騰対策・回復再生応援枠

物価高騰対策・回復再生応援枠の申請要件

資料によると「引き続き業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む事業者、原油価格・物価高騰等の影響を受ける事業者に対する支援」となっていることから、売り上げ減少要件や付加価値額減少要件など、何らかの形で業況が厳しく、原油価格・物価高騰等の影響を受けていることが要件になるのではないかと考えられます。

2022年の事業再構築補助金の「緊急対策枠」では申請するための条件として下記の要件が課されていました。

・足許で原油価格・物価高騰等の経済環境の変化の影響を受けたことにより、2022 年 1 月以降の連続する 6 か月間のうち、任意の 3 か月の合計売上高が、2019 年~2021 年の同3か月の合計売上高と比較して 10%以上減少していること等。

また、2022年の事業再構築補助金の「回復・再生応援枠」では申請するための条件として下記の2つの要件が課されていました。

・2020 年 4 月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019 年又は 2020 年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して 10%以上減少していること等。
・2021 年 10 月以降のいずれかの月の売上高が対 2020 年又は 2019 年同月比で 30%以上減少していること等。

2023年の「物価対策・回復再生応援枠」についても同じような売り上げまたは付加価値額の減少要件が課されるのではないかと思われます。

物価高騰対策・回復再生応援枠の補助上限額と補助率

また、資料には「物価高騰対策・回復再生応援枠」の補助上限額と補助率についても記載があります。

資料によると補助上限額は「1000万円、1500万円、2000万円、3000万円」のいずれかで、どの補助上限によるかは従業員規模により異なるとされています。

このような従業員規模による補助上限は2022年の事業再構築補助金「緊急対策枠」でも設定されており、補助上限額が従業員規模に応じて下記の表のように設定されていました。

従業員規模補助上限(2022年の「緊急対策枠」)
従業員数 5人以下1,000万円
従業員数 6~20人2,000万円
従業員数 21人~50人3,000万円
従業員数 51人~4,000万円

金額も異なっているため、2023年の物価高騰対策・回復再生応援枠の従業員規模と補助上限の関係は現時点では不明ですが、従業員数が多ければ多いほど、補助上限額も大きくなると考えて間違いないでしょう。

また、物価高騰対策・回復再生応援枠の補助率については「中小2/3(一部3/4)」「中堅1/2(一部2/3)」とされています。2022年の緊急対策枠でもこのような変動する補助率は設定されており、補助金額に応じて下記のようなルールで定められていました。

従業員数 5 人以下の場合  500 万円を超える部分は2/3(それ以下は3/4)
従業員数 6~20 人の場合  1,000 万円を超える部分は2/3(それ以下は3/4)
従業員数 21 人以上の場合  1,500 万円を超える部分は2/3(それ以下は3/4)

2023年の「物価高騰対策・回復再生応援枠」についても同様に、一定の金額までは補助率が3/4でそれを超える部分については2/3の補助率にするという取り扱いがされるのではないかと考えられます。

「成長枠」について

続いて、2022年の事業再構築補助金の「通常枠」に近しい申請類型と考えられる「成長枠」についてです。

成長枠

成長枠の申請要件

資料によると「大胆な事業再構築に取り組む事業者に対する支援」となっていることから、現時点では売上高減少要件等が設けられるかは不明です。事業再構築補助金はこれまで何度も申請要件の緩和が進められており、成長枠では売上高減少要件が廃止されて幅広い事業者が申請することができるようになるかもしれません。

成長枠の申請要件は現時点では不明ですが、中小企業庁の資料によると「市場規模が10%以上拡大する業種・業態への転換を支援する」と記載されているため、転換先の市場はある程度制限されるかと思います。(2022年11月22日更新)

また、資料の※4の部分に注目すると、「補助事業期間内に賃上げ要件を達成した場合、補助率を中小2/3、中堅1/2に引上げ」と記載されていることから、「成長枠」と「グリーン成長枠」については賃金の引き上げを従業員に宣言することによる加点措置等が設けられる可能性が高いのではないかと考えております。

賃金の引き上げについては今まで「ものづくり補助金」や「小規模事業者持続化補助金」で加点や申請要件として設定されており、給与支給総額を基準としたり、事業所内最低賃金(申請する事業所の中で時給換算して賃金が最も低い方の給与)を基準にしたりしていたため、今回もどちらかまたは両方が要件になるのではないかと考えられます。
※2022年11月18日に更新された資料では「補助事業期間内に事業場内最低賃金を年45円以上引上げた場合等に補助率を1/2→2/3に引上げ」と記載があります。

成長枠の補助上限額と補助率

成長枠についても、今回公開された資料に補助上限額と補助率が記載されています。成長枠の補助上限額は「2,000万円、4,000万円、5,000万円、7,000万円」と段階的に設定されており、こちらの枠についても従業員規模によって異なるとされているため、従業員数が多ければ多いほど補助上限も大きくなるかと思います。

また、補助率については「中小1/2、中堅1/3」とされていますが、注釈には「補助事業期間内に賃上げ要件を達成した場合、補助率を中小2/3、中堅1/2に引上げ」とされているため、賃上げ要件を満たすことによって2022年と同等の補助率に引上げることができるようです。現時点ではどのような賃上げの基準が設けられるか不透明ですが、こちらも詳細が発表され次第更新させていただきます。

「産業構造転換枠」について

「産業構造転換枠」は今までに類似した申請類型がなかった新規の申請類型になるかと思われます。資料によると「市場規模が10%以上縮小する業種・業態からの転換を支援する」とあることから市場が縮小しているような産業で現在事業を行っている事業者を対象に、廃業を伴う場合の上乗せについての記載もあることから構造的な課題に直面している事業者のM&A等が関係する枠になるのではないかと予想しています。

産業構造転換枠の申請要件

資料によると「構造的な課題に直面している事業者が取り組む事業再構築に対する支援」となっており、また、補助上限の欄に「廃業をともなう場合、2,000万円上乗せ」と記載されていることからM&A等によって行う事業再構築の取り組みを補助する申請類型ではないかと予想されますが、現時点では何もわからないというのが正直なところです。

こちらについても詳細が判明次第、更新させていただきます。

産業構造転換枠の補助上限額と補助率

産業構造転換枠の補助上限についても「2,000万円、4,000万円、5,000万円、7,000万円」と段階的に設定されており、こちらの枠についても従業員規模によって異なるとされているため、従業員数が多ければ多いほど補助上限も大きくなるかと思います。

補助率は「中小2/3、中堅1/2」とされており、成長枠よりも高く設定されています。

「サプライチェーン強靭化枠」について

「サプライチェーン強靱化枠」も今までに類似した申請類型がなかった新規の申請類型になるかと思われます。やはり目立つのは圧倒的な補助上限でなんと5億円。これだけの規模の補助金額は中小企業向けの補助金では珍しく、求められる要件も厳しくなると予想されます。

サプライチェーン強靭化枠の申請要件

資料によると「海外で製造する部品等の国内回帰を進め、国内サプライチェーンの強靱化および地域産業の活性化に資する取り組みを行う事業者に対する支援」となっており、単に国内に工場を建設するだけでは要件を満たさず、申請時点で海外で製造する部品があることなどが申請要件となってくるのではないかと予想されます。

サプライチェーン強靭化枠の補助上限額と補助率

サプライチェーン強靱化枠の補助上限は5億円です。他の申請類型と異なり従業員規模による補助上限額の設定はされていませんが、審査の時点で事業の実現可能性は間違いなくチェックされるので従業員数が少なくても5億円が狙えるほど甘くはないと考えられます。

また、補助率については中小1/2、中堅1/3とされており、成長枠と同じとなっています。ただし上乗せ等は無いようです。

「卒業促進枠」と「大規模賃金引上促進枠」について

今まで掲載してきた表には記載されていませんが、下の方の注釈に着目すると「成長枠」と「グリーン成長枠」の補助率を上げるための上乗せ枠として「卒業促進枠」と「大規模賃金引上枠」という枠が用意されるようです。

卒業促進枠について

公開された資料では卒業促進枠について「事業実施期間中に中小企業から中堅企業へ成長する事業者等に対する上乗せ枠」とされています。これは中小企業基本法の中小企業に当てはまらないようになる、つまり、増資または従業員数(もしくは、両方)の増加を行って中小企業を卒業する場合の上乗せになるかと思われます。

なお、中小企業の定義については中小企業庁のサイトをご確認ください。

https://www.chusho.meti.go.jp/soshiki/teigi.html

なお、引上げられるのは補助率で「中小1/2、中堅1/3」から「中小2/3、中堅1/2」になります。

大規模賃金引上促進枠について

公開された資料では大規模賃金引上促進枠について「継続的な賃金引上げに取り組むと共に従業員を増加させる事業者に対する上乗せ枠」とされています。おそらく、事業所内最低賃金または給与支給総額の引き上げと従業員数の増加の条件が設定され、条件を達成することを宣誓することで補助率が引上げられる制度かと思われます。

なお、引上げられる補助率は卒業促進枠と同様で「中小1/2、中堅1/3」から「中小2/3、中堅1/2」になります。

村上貴弘

村上貴弘

東京大学経済学部卒。行政書士。在学中にフリーランスのコンサルタントとして中小企業、士業事務所のコンサルティングを行なう。2019年株式会社meditips創業。2020年株式会社meditips取締役就任。2021年meditips行政書士事務所開業。現在はベンチャー企業やクリニック、飲食店、建設業など幅広い企業の支援を行なっている。

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