【2023年3月更新】2023年(令和5年)の事業再構築補助金の最新情報まとめ!変更点などのポイントをわかりやすく解説!

2023年3月30日、事業再構築補助金10次締切の公募要領が発表され、2023年の事業再構築補助金の詳細が明らかになりました。この記事では2023年の事業再構築について、申請枠の詳細や補助金額等について、徹底的に解説していきます。

※2023年3月30日更新
公募要領の内容を反映しました。
※2023年2月20日更新
事業再構築補助金のサプライチェーン強靱化枠の詳細について、追記しました。
※2023年1月19日更新
2023年の事業再構築補助金の全体像を追加しました。
※2022年12月2日更新
成長枠について、グリーン成長枠と同様に売上高減少要件が撤廃されることを追記しました。
※2022年11月22日更新
成長枠が市場規模が10%以上拡大する業種・業態への転換を支援するものであることを追記しました。
産業構造転換枠が市場規模が10%以上縮小する業種・業態からの転換を支援するものであることを追記しました。

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2023年も事業再構築補助金は実施される

経済産業省関係令和4年度第2次補正予算案の事業概要には下記の資料が掲載されました。

2023年事業再構築補助金

出典:令和4年度第2次補正予算案の概要

資料によると中小企業等事業再構築促進事業(事業再構築補助金)の令和4年度補正予算案額は5,800億円とされています。前年に引き続きかなりの金額が計上されており、2023年も事業再構築補助金は中小企業にとってかなりおすすめできる補助金になるかと思います。

また、事業概要では申請類型についても概要が掲載されています。現時点で注目すべき変更点は下記のとおりです。

変更点まとめ
・緊急対策枠と回復再生応援枠が統合され、新たに「物価対策・回復応援枠」が設けられた。
・「通常枠」が「成長枠」に変更された
・「産業構造転換枠」が新設された
・「サプライチェーン強靭化枠」が新設された
・成長枠とグリーン成長枠には「卒業促進枠」と「大規模賃金引上促進枠」という上乗せ枠が設けられた

それぞれの変更点について、明らかになっていることを下記にまとめていきます。

2023年の事業再構築補助金のまとめ

2023年の事業再構築補助金は細分化すると7つの申請枠が用意され、今まで以上に複雑な補助金制度となりました。複雑でわかりにくい2023年の事業再構築補助金のまとめは下記の通りです。

2023年事業再構築補助金のまとめ

2023年の事業再構築補助金は、業況が厳しい事業者向けのの「最低賃金枠」と「物価高騰対策・回復再生応援枠」、市場が縮小している事業者向けの「産業構造転換枠」、いままでの通常枠に近い形で幅広い企業が応募できる「成長枠」と「グリーン成長枠」、サプライチェーンの強靱化に取り組む大規模な事業を展開する事業者向けの「サプライチェーン強靱化枠」といった分類ができます。

それぞれの申請枠について順番に解説していきます。

「物価高等対策・回復再生応援枠」について

まずは「通常枠」についで多くの方が申請していた「緊急対策枠」と「回復・再生応援枠」の後継版ともいえるであろう「物価高騰対策・回復再生応援枠」についてです。

物価高騰対策・回復再生応援枠

物価高騰対策・回復再生応援枠の申請要件

①事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であること

物価高騰対策・回復再生応援枠では「事業再構築指針」で定められた5つの事業再構築の類型のうちのいずれかを満たしている必要があります。

事業再構築指針の構成

事業再構築の類型としては「新市場進出」「事業転換」「業種転換」「事業再編」「国内回帰」があげられており、いずれかの要件を満たすような事業にする必要があります。

②事業計画について認定経営革新等支援機関の確認を受けていること

物価高騰対策・回復再生応援枠でも事業計画について、認定経営革新等支援期間(通称「認定支援機関」)からの確認を受ける必要があります。また、補助金額が3000万円を超える事業では金融機関からも確認書の発行をしてもらう必要があります。

③補助事業終了後、3~5年で付加価値額の年率平均3.0%以上増加、又は従業員一人あたり付加価値額の年率平均3.0%以上増加する計画を策定すること

物価高騰対策・回復再生応援枠の事業計画では付加価値を年率平均3%以上増加させる計画を立てる必要があります。付加価値額とは営業利益、人件費、減価償却費を足したものをいいます。

④売上高減少要件を満たすこと

物価高騰対策・回復再生応援枠に申請するためには物価の高騰や新型コロナウイルスの影響によって売上高が減少している必要があります。詳細な条件としては、2022 年 1 月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が対 2019~2021 年の同 3 か月の合計売上高と比較して 10%減少していることが求められます。

なお、上記の要件を満たさない場合は、2022 年 1 月以降の連続する6か月のうち、任意の3か月の合計付加価値額が対 2019~2021 年の同3か月の合計付加価値額と比較して 15%以上減少していることでも申請が可能です。

付加価値額の計算は付加価値額要件と同様で、営業利益、人件費、減価償却費を足したものを用います。

物価高騰対策・回復再生応援枠の補助上限額と補助率

「物価高騰対策・回復再生応援枠」の補助上限額と補助率は従業員数によって異なります。

「物価高騰対策・回復再生応援枠」の補助上限額

物価高騰対策・回復再生応援枠の補助上限額は従業員数によって異なり、1,000万円から3,000万円となっています。それぞれの従業員数ごとの補助上限額は下記の通りです。

従業員数補助上限
従業員数 5人以下1,000万円
従業員数 6~20人1,500万円
従業員数 21人~50人2,000万円
従業員数 51人~3,000万円

物価高騰対策・回復再生応援枠では従業員数5人以下の場合は補助上限1,000万円、従業員数6~20名の場合は補助上限1,500万円、従業員数21~50人の場合は補助上限2,000万円、従業員数51人以上の場合は補助上限3,000万円となります。

「物価高騰対策・回復再生応援枠」の補助率

物価高騰対策・回復再生応援枠の補助率は2/3~3/4の間となっており、自社の従業員数や投資金額によって変化します。従業員数と補助率の関係は次の通りです。

従業員数 5 人以下の場合  400 万円を超える部分は2/3(それ以下は3/4)
従業員数 6~20 人の場合  600 万円を超える部分は2/3(それ以下は3/4)
従業員数 21 ~50人の場合  800 万円を超える部分は2/3(それ以下は3/4)
従業員数 51人以上の場合  1,200 万円を超える部分は2/3(それ以下は3/4)

「成長枠」について

続いては2023年の事業再構築補助金で新たに設けられた「成長枠」についてです。成長枠は補助上限が最大7,000万円の大型の補助金となっています。

成長枠

成長枠の申請要件

事業再構築補助金「成長枠」の申請要件は「市場拡大要件」「事業再構築要件」「付加価値額要件」「認定支援機関要件」「給与総額増加要件」の5つです。今までの事業再構築補助金で設定されていた「売上高減少要件」が撤廃されている代わりに「市場拡大要件」と「給与総額要件」が追加されています。通常枠の要件を解説していきます。

①取り組む事業の市場規模が10%以上拡大する業種・業態に属していることが必要

事業再構築補助金「成長枠」の最も特徴的な要件は「取り組む事業の市場規模が10%以上拡大する業種・業態に属していることが必要」となる「市場拡大要件」です。

市場拡大要件とは「取り組む事業が、過去~今後のいずれか 10 年間で、市場規模(製造品出荷額、売上高等)が 10%以上拡大する業種・業態に属している」ことを求める要件となっており、事務局が指定した業種・業態に属する事業でなければ原則として補助対象にはなりません。事務局が現時点で指定している業種業態は下記のリストから確認可能です。

▼事務局が指定する成長枠の対象となる業種・業態の一覧
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/seichowaku_list.pdf

なお、上記のリストに指定されていない業種であっても、応募時に要件を満たす業種・業態である旨のデータを提出し、認められた場合には対象となります。
公募開始以降事務局HPに掲載予定の様式に必要事項を記載の上提出してください。(過去の公募回で認められた業種・業態については、その後の公募回では指定業種として公表されます)

②事業再構築要件を満たすことが必要

また、今までの要件として設定されていた事業再構築要件についても「成長枠」の要件とされています。事業再構築要件とは、「事業再構築指針」にて示された事業再構築の要件を満たすための条件のことで、2023年の事業再構築指針では「新市場進出(新分野展開、業態転換)」、「事業転換」、「業種転換」、「事業再編」又は「国内回帰」の5つの事業再構築の類型が示されています。

それぞれの事業再構築の類型の条件は次の通りです。

事業再構築の類型必要となる要件
新市場進出①製品等の新規性要件、②市場の新規性要件、③新事業売上高10%等要件
事業転換①製品等の新規性要件、②市場の新規性要件、③売上高構成比要件
業種転換①製品等の新規性要件、②市場の新規性要件、③売上高構成比要件
事業再編①組織再編要件、②その他の事業再構築要件
国内回帰①海外製造等要件、②導入設備の先進性要件、③新事業売上高10%等要件

また、各要件で示す必要がある内容は次の通りです。

▼詳しい事業再構築指針の内容については事業再構築指針の手引きをご確認ください。
https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/pdf/shishin_tebiki.pdf

③年率平均4.0%以上の付加価値額向上が必要

事業再構築補助金の「成長枠」に申請するために立てる計画においては、年率平均4.0%以上の付加価値額の向上が必須となります。なお、付加価値額とは「付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を足したもの」をいい、成果目標の比較基準となる付加価値額は、補助事業終了月の属する(申請者における)決算年度の付加価値額とされています。
こちらの要件についてはあくまでも申請時点の計画において付加価値の向上を目指すものであり、3~5年の事業計画期間が終了した時点で付加価値額の向上が達成していなくてもペナルティはありません。

④認定支援機関の確認を受けることが必要

事業再構築補助金の申請を行うためには認定経営革新等支援期間(通称「認定支援機関」)とともに事業計画の策定を行い、計画の内容について認定支援機関からの確認を受けて「認定支援機関確認書」を発行してもらう必要があります。認定支援機関は金融機関や商工会、税理士や民間のコンサルタントが取得しているため、お近くの認定支援機関にご相談ください。
当社も認定支援機関としての認定を受けておりますので、事業計画書の作成や確認についてのご相談があればお気軽にお問い合わせください。

▼事業再構築補助金の無料相談はこちら


▼認定支援機関の選び方はこちらで解説しています。

⑤給与支給総額を年率平均2%以上増加させることが必要

事業再構築補助金の「成長枠」に申請するためには、「給与支給総額要件」を満たす必要があります。給与支給総額要件とは、事業終了後 3~5 年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させることをもとめる要件です。

給与支給総額要件では、補助事業実施機関の終了時点が含まれる事業年度の給与支給総額を基準とし、補助事業終了後の3~5念の事業計画期間中、給与支給総額を年率平均で2%(賃上げ加点を受ける事業者は3~5%)以上増加させる計画を作成し、実行する必要があります。応募に際しては賃金引上げ計画の誓約書を提出する必要があります。
また、正当な理由がなく、上記の水準を達成することができなかった場合、事業者名が公表されるとされています。

さらに、要件として、「応募時点で直近の事業年度の給与支給総額」と「基準年度の給与支給総額」を比較したときに、「応募時点で直近の事業年度の給与支給総額」 ≦ 「基準年度の給与支給総額」であることも必要です。つまり、応募した後に簡単に要件を達成できるように基準年度の賃金を引き下げることは認められません。

事業再構築補助金の給与支給総額引き上げ要件について

成長枠の補助上限額と補助率

事業再構築補助金「成長枠」の補助金額

事業再構築補助金の「成長枠」の補助金額は従業員数によって異なり、最大で7,000万円の補助金が得られます。従業員数ごとの補助金額は次の表の通りです。

従業員数補助金額
従業員数20人以下100万円~2,000万円
従業員数21~50人100万円~4,000万円
従業員数51~100人100万円~5,000万円
従業員数101人以上100万円~7,000万円

従業員数20人以下の場合は最大で2,000万円、従業員数が21~50人の場合は最大で4,000万円、従業員数が51~100人の場合は最大で5,000万円、従業員数が101人以上の場合は最大で7,000万円となっています。

事業再構築補助金「成長枠」の補助率

事業再構築補助金の「成長枠」の補助金額は「中小企業者等」と「中堅企業等」によって異なります。中小企業者等の場合の補助率は1/2、中堅企業等の補助率は1/3となります。
ただし、大規模な賃上げを行う場合は補助率の引き上げが設定されており、大規模な賃上げを行う中小企業者等の補助率は2/3、大規模な賃上げを行う中堅企業等の補助率は1/2となります。

企業種補助率
中小企業者等1/2(大規模な賃上げを行う場合2/3)
中堅企業等1/3(大規模な賃上げを行う場合1/2)

補助率を上げるための「大規模な賃上げ」について

中小企業や中堅企業の補助率を引き上げるための「大規模な賃上げ」とは「事業終了時点で①事業場内最低賃金+45円、②給与支給総額+6%を達成すること」とされています。大規模な賃上げによる補助率の引き上げを希望する場合には、応募時に「大規模賃上げ及び従業員増加計画書」を提出し、記載内容の妥当性を審査してもらう必要があります。

大規模な賃上げには賃上げ前の年度である「基準年度」と賃上げ後の年度である「報告対象年度」の考え方が重要になります。下の図のパターンはいずれも「大規模な賃上げ」の基準年度と報告対象年度の設定方法として認められています。

事業再構築補助金の「大規模な賃上げ」の説明

まず、採択日~補助事業完了期限日のいずれかの時点が含まれる事業年度である「報告対象年度」を決定します。「基準年度」は上記の方法で定めた「報告対象年度」の直前の事業年度となります。より詳しい「成長枠」の解説は別の記事にまとめさせていただきました。
▼事業再構築補助金「成長枠」の詳細はこちら

「産業構造転換枠」について

「産業構造転換枠」は今までに類似した申請類型がなかった新規の申請類型です。事前に公表されていた資料では「市場規模が10%以上縮小する業種・業態からの転換を支援する」とされており、公募要領で詳細な要件が判明しました。大9,000万円の補助金を受け取れる大型の補助金となっており、国内市場縮小等の構造的な課題に直面している業種・業態の中小企業が取り組む再構築を支援する制度になっています。

産業構造転換枠の申請要件

事業再構築補助金「産業構造転換枠」には今までの事業再構築補助金にはなかった新しい申請要件が複数設定されています。すべての要件について、どのような内容になっているかを丁寧に解説していきます。

①現在の主たる事業の市場規模が10%以上縮小しており、別の業種・業態に転換することが必要

事業再構築補助金「産業構造転換枠」の最も特徴的な要件は「現在の主たる事業の市場規模は10%以上縮小しており、別の業種・業態に転換することが必要」となる「市場縮小要件」です。

市場縮小要件とは「現在の主たる事業が過去~今後のいずれか 10 年間で、市場規模が 10%以上縮小する業種・業態に属しており、当該業種・業態から別の業種・業態に転換すること」を求める要件となっており、事務局が指定した業種・業態に属する事業でなければ原則として補助対象にはなりません。事務局が現時点で指定している業種業態は下記のリストから確認可能です。

業種・業態名業種業態の定義・外縁
出版業(電子出版のみの事業者は除く)及び書籍・雑誌小売業書籍・雑誌(電子出版を除く)を出版する事業所又は販売する事業所
粘土かわら製造業主として粘土製の棟飾りを含む粘土製屋根かわらを製造する事業所
産業分類(2131 粘土かわら製造業)

2023年3月31日現在は上記の2業種のみが対象として明示されています。今後は下記のリストに対象となる業種が追加されていく見込みです。
▼事務局が指定する産業構造転換枠の対象となる業種・業態の一覧
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/tenkanwaku_list.pdf

なお、上記のリストに指定されていない業種であっても、応募時に要件を満たす業種・業態である旨のデータを提出し、認められた場合には対象となります。
公募開始以降事務局HPに掲載予定の様式に必要事項を記載の上提出してください。(過去の公募回で認められた業種・業態については、その後の公募回では指定業種として公表されます)

②事業再構築要件を満たすことが必要

また、今までの要件として設定されていた事業再構築要件についても「産業構造転換枠」の要件とされています。事業再構築要件とは、「事業再構築指針」にて示された事業再構築の要件を満たすための条件のことで、2023年の事業再構築指針では「新市場進出(新分野展開、業態転換)」、「事業転換」、「業種転換」、「事業再編」又は「国内回帰」の5つの事業再構築の類型が示されています。

▼詳しい事業再構築指針の内容については事業再構築指針の手引きをご確認ください。
https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/pdf/shishin_tebiki.pdf

③年率平均3.0%以上の付加価値額向上が必要

事業再構築補助金の「産業構造転換枠」に申請するために立てる計画では、年率平均3.0%以上の付加価値額の向上が必須となります。なお、付加価値額とは「営業利益、人件費、減価償却費を足したもの」をいい、成果目標の比較基準となる付加価値額は、補助事業終了月の属する(申請者における)決算年度の付加価値額とされています。
こちらの要件についてはあくまでも申請時点の計画において付加価値の向上を目指すものであり、3~5年の事業計画期間が終了した時点で付加価値額の向上が達成していなくてもペナルティはありません。

④認定支援機関の確認を受けることが必要

事業再構築補助金の申請を行うためには認定経営革新等支援期間(通称「認定支援機関」)とともに事業計画の策定を行い、計画の内容について認定支援機関からの確認を受けて「認定支援機関確認書」を発行してもらう必要があります。認定支援機関は金融機関や商工会、税理士や民間のコンサルタントが取得しているため、お近くの認定支援機関にご相談ください。
当社も認定支援機関としての認定を受けておりますので、事業計画書の作成や確認についてのご相談があればお気軽にお問い合わせください。

事業再構築補助金の「産業構造転換枠」は過去に事業再構築補助金の採択を受けていても申請可能

事業再構築補助金は原則として1法人1回しか使用することができませんが、「産業構造転換枠」であれば、過去に事業再構築補助金の採択を受けていても申請することが可能です。ただし、第1回から第9回公募でグリーン成長枠で採択されている事業者は応募することができません。補助金額は、第 10 回公募締切時点における 1 回目採択分の採択額、交付決定額又は確定額のいずれか最も低い金額と第 10 回公募の産業構造転換枠の補助上限額との差額分を上限とします。また、支援を受けることができる回数は 2回が上限となります。

また、過去に事業再構築補助金の採択を受けている場合にはすでに説明した申請要件の他にも追加で「別事業要件」「能力評価要件」を満たす必要があります。

⑤既に事業再構築補助金で取り組んでいる又は取り組む予定の補助事業とは異なる事業内容であることが必要

事業再構築補助金の「産業構造転換枠」はすでに再構築補助金の交付を受けていても申請可能な一方で、すでに取り組んでいる事業と同一の補助事業に就いては補助対象とすることができません。そのため、「産業構造転換枠」で取り組む事業がすでに事業再構築補助金で取り組んでいる事業とは異なるかどうかを判断する「別事業要件」を満たす必要があります。

⑥既存の事業再構築を行いながら新たに取り組む事業再構築を行うだけの体制や資金力があることが必要

事業再構築補助金ではもらうことができる補助金額が大きい一方で大きな投資を行うための体力が求められます。そのため、すでに事業再構築補助金の交付を受けていて、「産業構造転換枠」での申請も行う場合には2つの事業再構築補助金の事業を同時に進めることができるだけの資金や体制が十分であるかを審査する「能力評価要件」についても満たす必要があります。

産業構造転換枠の補助上限額と補助率

事業再構築補助金「産業構造転換枠」の補助金額

事業再構築補助金の「産業構造転換枠」の補助金額は従業員数によって異なり、最大で7,000万円の補助金が得られます。従業員数ごとの補助金額は次の表の通りです。

従業員数補助金額
従業員数20人以下100万円~2,000万円
従業員数21~50人100万円~4,000万円
従業員数51~100人100万円~5,000万円
従業員数101人以上100万円~7,000万円

従業員数20人以下の場合は最大で2,000万円、従業員数が21~50人の場合は最大で4,000万円、従業員数が51~100人の場合は最大で5,000万円、従業員数が101人以上の場合は最大で7,000万円となっています。ただし、廃業を伴う場合には廃業費の上乗せを受けることが可能で、最大2000万円が上乗せされます。

事業再構築補助金「産業構造転換枠」の補助率

事業再構築補助金の「産業構造転換枠」の補助金額は「中小企業者等」と「中堅企業等」によって異なります。中小企業者等の場合の補助率は2/3、中堅企業等の補助率は1/2となります。

企業種補助率
中小企業者等1/2(大規模な賃上げを行う場合2/3)
中堅企業等1/3(大規模な賃上げを行う場合1/2)

「サプライチェーン強靭化枠」について

「サプライチェーン強靱化枠」も今までに類似した申請類型がなかった新規の申請類型になります。やはり目立つのは圧倒的な補助上限でなんと5億円。これだけの規模の補助金額は中小企業向けの補助金では珍しく、求められる要件も厳しくなっています。※2023年2月に最新の要件を追記しました。

▼サプライチェーン強靱化枠の詳細はこちら

2022年2月、サプライチェーン強靱化枠の利用イメージが事業再構築補助金の事務局より公開されました。

事業再構築補助金 サプライチェーン強靱化枠の利用イメージ

サプライチェーン強靱化枠の利用イメージではこれまで海外の生産拠点で製造していた製品を国内で製造するために補助金を活用するケースと、取引先がこれまで海外で調達していた製品について、国内で製造できないか取引先から打診があり、対応するために国内生産拠点を新たに設立するケースが併記されました。

現時点では海外で生産していない場合でも取引先からの要請があれば国内の新たな生産拠点の費用が補助対象になるため、比較的幅広い製造業者が補助対象になると思われます。

サプライチェーン強靭化枠の申請要件

資料によると「海外で製造する部品等の国内回帰を進め、国内サプライチェーンの強靱化および地域産業の活性化に資する取り組みを行う事業者に対する支援」となっております。詳細な要件は次の通りです。※2023年2月現在の情報

①国内回帰の取組であること(今後、事業再構築指針で示す「国内回帰」要件に該当すること。)
②事業計画を認定経営革新等支援機関と策定すること。補助金額が3,000万円を超える案件は認定経営革新等支援機関及び金融機関(金融機関が認定経営革新等支援機関であれば当該金融機関のみでも可)と策定していること
③補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均5.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均5.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること
④取引先から国内での生産(増産)要請があること(事業完了後、具体的な商談が進む予定があるもの)
⑤取り組む事業が、過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上拡大する業種・業態に属していること
⑥下記の要件をいずれも満たしていること
⑴経済産業省が公開するDX推進指標を活用し、自己診断を実施し、結果を独立行政法人情報処理推進機構(IPA)に対して提出していること。
⑵IPAが実施する「SECURITY ACTION」の「★★ 二つ星」の宣言を行っていること。
⑦交付決定時点で、設備投資する事業場内最低賃金が地域別最低賃金より30円以上高いこと。ただし、新規立地の場合は、当該新事業場内最低賃金が地域別最低賃金より30円以上高くなる雇用計画を示すこと。
⑧事業終了後、事業年度から3~5 年の事業計画期間終了までの間に給与支給総額を年率2%以上増加させる取組であること
➈「パートナーシップ構築宣言」ポータルサイトにて、宣言を公表していること。

引用元:事業再構築補助金令和4年度第二次補正予算【サプライチェーン強靱化枠】の概要

特に注目すべきは事業再構築指針に新たに「国内回帰」という要件が設定されることでしょう。国内回帰がどのような要件になるかは現時点では不明ですが、海外の生産拠点を国内に移すことについて、定量的な条件が設定されるのではないかと思われます。

また、付加価値額については年率平均5%の成長が求められており、通常の事業再構築補助金の要件よりも厳しくなっています。

③の要件についても今までの事業再構築補助金には設定されていなかった項目となっております。取引先から国内での生産(増産)要請があることが要件として設定されているため、取引先から具体的な書面を交付してもらう必要があるものと思われます。

⑥と⑨の要件については今までものづくり補助金のデジタル枠や再構築補助金のグリーン成長枠で求められていたような簡単な宣言となっております。こちらは手続きが必要なものの対応自体は簡単なので忘れずに申請すれば問題ありません。

⑦と⑧について、サプライチェーン強靱化枠では賃上げの要件も設定されるようです。特に交付決定時点で設備投資する事業所の事業所内最低賃金が地域別最低賃金+30円であることが求められるため、交付決定前にあらかじめ賃上げを行っておく必要がある事業者もいるものと思われます。

なお、サプライチェーン強靱化枠については対象となる業種が製造業に限定されています。製造業以外を営む事業者については補助対象外となる点にも注意が必要です。

サプライチェーン強靭化枠の補助上限額と補助率

サプライチェーン強靱化枠の補助上限は5億円です。他の申請類型と異なり従業員規模による補助上限額の設定はされていませんが、審査の時点で事業の実現可能性は間違いなくチェックされるので従業員数が少なくても5億円が狙えるほど甘くはないと考えられます。

また、補助率については中小1/2、中堅1/3とされており、成長枠と同じとなっています。ただし上乗せ等は無いようです。

サプライチェーン強靱化枠の特例的措置(2回目の採択)

事業再構築補助金では原則として1事業者について採択は1回に限られますが、サプライチェーン強靱化枠については、再申請が認められます。ただし、サプライチェーン強靱化枠としては上限が1回になるため、サプライチェーン強靱化枠を2回申請することはできません。

また、2回目の事業再構築補助金の採択を受けるためには通常の必要書類に追加して下記の説明資料を提出することが求められます。

①既に事業再構築補助金で取り組んでいる事業再構築とは異なる事業再構築(国内回帰)であることの説明資料
②既存の事業再構築を行いながら新たに取り組む事業再構築を行うだけの体制や資金力があることの説明資料

「卒業促進枠」と「大規模賃金引上促進枠」について

2023年の事業再構築補助金では「卒業促進枠」と「大規模賃金引上促進枠」という特別な枠が創設されました。ここからは「卒業促進枠」と「大規模賃金引上促進枠」について解説していきます。

卒業促進枠について

公開された資料では卒業促進枠について「事業実施期間中に中小企業から中堅企業へ成長する事業者等に対する上乗せ枠」とされています。これは中小企業基本法の中小企業に当てはまらないようになる、つまり、増資または従業員数(もしくは、両方)の増加を行って中小企業を卒業する場合の上乗せになるかと思われます。

なお、中小企業の定義については中小企業庁のサイトをご確認ください。

https://www.chusho.meti.go.jp/soshiki/teigi.html

なお、引上げられるのは補助率で「中小1/2、中堅1/3」から「中小2/3、中堅1/2」になります。

大規模賃金引上促進枠について

公開された資料では大規模賃金引上促進枠について「継続的な賃金引上げに取り組むと共に従業員を増加させる事業者に対する上乗せ枠」とされています。おそらく、事業所内最低賃金または給与支給総額の引き上げと従業員数の増加の条件が設定され、条件を達成することを宣誓することで補助率が引上げられる制度かと思われます。

なお、引上げられる補助率は卒業促進枠と同様で「中小1/2、中堅1/3」から「中小2/3、中堅1/2」になります。

まとめ

本記事では事業再構築補助金の最新情報や既存の制度からの変更点を解説しました。このように事業再構築補助金は頻繁にその制度内容が変更されるため、常に最新の情報を確認することが重要です。

変更内容が複雑でよくわからない、事業再構築補助金に興味があるが自身の会社が対象となるのかよくわからないという場合は、弊社をはじめとする認定支援機関へのご相談をおすすめします。

▼事業再構築補助金の無料相談はこちら

村上貴弘

村上貴弘

東京大学経済学部卒。行政書士。在学中からフリーランスのコンサルタントとして中小企業、士業事務所の補助金獲得のコンサルティングを行なう。2019年株式会社meditips(現:株式会社プランベース)創業。2020年同社取締役就任。2021年meditips行政書士事務所開業。現在はベンチャー企業や飲食店、製造業、建設業など幅広い企業の経営戦略立案や補助金申請支援を行なっている。

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