補助金の申請代行とは|申請代行の費用の目安、代行業者を選ぶ際のポイントも解説

補助金を活用してみたいと思っていざ調べると、必要書類の多さや手続きの複雑さに戸惑ってしまいますよね。そこで、補助金の申請代行業者に依頼しようにも何を基準に選んだらいいか分からないという方も多いでしょう。

この記事では補助金の申請手順と代行業者の選び方を、補助金申請の専門家である当社の視点からご紹介します。しっかり理解して採択率アップに繋げましょう。

補助金の申請代行とは

補助金の申請には膨大な書類の提出が必要になるだけでなく、事業者が取り組む事業を「合理的」かつ「採算性」をアピールしながら事業計画書としてまとめる必要があります。この事業計画書は補助金における審査の判断材料となるため非常に重要です。

本業に忙しい中小事業者の方がこれらの膨大な書類を揃えたり、自力で採択されやすい事業計画書を作成することはかなり難しいため、補助金申請の専門家に依頼して事業計画書の作成代行や申請手続きのサポートをしてもらう「申請代行」が認められており、多くの方が活用しています。

補助金の申請代行の依頼先

ここでは補助金や助成金の申請代行の依頼先を紹介します。

補助金の申請代行の専門家

経済産業省などが管轄する補助金に関しては、申請代行を請け負うために必須となる資格はありません。しかしほとんどの補助金の採択率は40〜50%程度であるため、経験豊富な代行先を見つけることが重要になります。申請代行の依頼先としては主に、(1)コンサルティング会社、(2)金融機関、(3)商工会議所、(4)士業が挙げられます。

(1)コンサルティング会社

補助金の申請支援や、補助金の申請に必要となる事業計画書の策定を専門の事業としているコンサルティング会社が存在します。補助金の申請支援のサポート経験が豊富で、補助金についての知識や採択されやすいポイントを把握している点が特徴です。

(2)金融機関

地方銀行や地方の信用金庫なども補助金の申請支援を行っている場合があります。補助金は後払いのため、融資などで資金調達を行う必要もありますが、資金調達に関しての相談も行うことができます。

(3)商工会議所

各地域に設置されている商工会や商工会議所でも、補助金の申請サポートを行っている場合があります。中小企業や小規模事業者の支援、地域課題の解決を行っています。特に地域の特性や課題についての理解が深いといえます。

(4)士業

中小企業診断士、行政書士、公認会計士、税理士、弁護士といった士業の方も、補助金の申請代行や事業計画書の策定などをサービスとして提供している場合があります。一方で、補助金の申請支援を行っていない士業の方も多いため、補助金の申請代行の経験が豊富な方に依頼するのが良いでしょう。

助成金の申請代行の依頼先は社労士のみ

厚生労働省の管轄する助成金は補助金とは異なり、社会保険労務士の資格を持っている業者のみが申請代行を請け負うことができます。助成金は補助金とは違い、審査がなく事業計画書を作成する必要もなく、助成金の支援を行う社労士も多くは無いため、ご自身の手で申請するのも現実的です。

補助金の申請代行の選び方

補助金の申請代行先を検索されている方ならお分かりになるかと思いますが、補助金の申請代行業者は数多く存在します。多数存在する補助金の申請代行業者は、どのような基準で選んだら良いのでしょう?これから紹介するようなポイントに気を付けることで質の低い業者を選んでしまうリスクを大きく減らすことができます。補助金の申請代行先の選び方は大きく、(1)認定支援機関、(2)実績、(3)資格、(4)専門性、(5)サポートの幅(6)費用、の大きく6つが挙げられます。

(1)認定支援機関

事業再構築補助金等の補助金では、認定支援機関(認定経営革新等支援機関)と事業計画の策定を行うことが必須の申請要件となっています。認定支援機関とは、中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にある者として国の認定を受けた支援機関のことです。このように、補助金の申請代行業者が、認定支援機関であるかどうかは重要な判断材料であるといえます。認定支援機関は、中小企業庁の検索システムを使って検索することができます。検索サイトはこちら認定支援機関

(2)実績

補助金には厳しい審査があるため、補助金の申請代行業者の過去の申請実績も、申請代行業者を選定する上では重要なポイントとなります。ただし、補助金の採択率は判断基準にするのはかなり危険です。補助金の場合は業種によって採択率が大きく変わってしまうため、自身と同じ業種での採択実績が豊富な代行業者を選ぶことがポイントです。採択率等の実績を公表している事業者も多いため、それらをよく比較して申請代行先を選定しましょう。

(3)資格

上述したように、補助金の申請代行に必要な資格はありませんが、以下のような資格を持っている業者であればある程度信用がおけるでしょう。

  • 中小企業診断士
  • 行政書士
  • 税理士
  • 司法書士

(4)専門性

申請代行業者によって得意としている業種が異なる場合があるため、自身の業種を専門としている、または得意としている支援先を選定することも重要です。業者によっては、補助金のサポート事例などを公表している場合もあるので確認しておきましょう。

(5)サポートの幅

補助金の申請手続きをどこまでサポートしてくれるかというのも確認する必要があります。申請代行業者は、事業計画書の作成のみを代行するものから、採択後の実績報告や交付申請といった手続きまでサポートしてくれるものまで多岐にわたります。料金のみに惑わされず、サポートの幅まで考慮して業者を選定することが重要です。

(6)費用

申請代行の費用も、補助金の申請代行業者を選定する重要なポイントの1つです。費用の面で注意しなければならないのは申請代行の料金が相場よりも、特別に高額である場合や安価である場合です。

費用の相場はこちら

料金が高額である場合は、補助金についての知識がないことを悪用して高額な報酬を要求する悪質な業者である可能性があります。

料金が安価である場合は、事業計画書の策定などのサービスの質が低い可能性があります。補助金には審査があり、採択されるための事業計画書を作成する必要があるため、申請サポートの質や事業計画書作成のスキルが重要となってきます。

このように申請支援の費用が、あまりに高額または安い場合は、その理由を聞くなどしてよく確認しておきましょう。

補助金の申請代行のメリット

補助金の申請代行を依頼するメリットは大きく、(1)採択の確立を高められる、(2)労力や時間を大幅に削減できる、(3)事業に関する相談ができる、(4)補助金の知識や情報を得られる、(5)資金調達先の紹介を受けられる場合がある、の大きく5つが考えられます。

(1)採択の確率を高められる

先ほども述べた通り、補助金は採択率が40〜50%程度となっており、簡単に採択されるものではありません。特に事業者が独力で申請する場合には、手続きや必要書類が極めて煩雑なことや補助金の審査において重視されるポイントなどの知識がないことによって、事業の内容は良いのに不採択となってしまうケースも少なくありません。主な補助金の採択率は以下の通りです。

事業再構築補助金49.9%(第6次公募)
ものづくり補助金50.3%(第7次締切)
小規模事業者持続化補助金53.9%(第5回締切)

補助金の申請支援経験が豊富な申請代行業者の場合は、補助金申請のノウハウが蓄積されているため申請代行を依頼することで採択確率を大幅に引き上げることが可能です。

(2)労力や時間を大幅に削減できる

補助金の申請には、大量の必要書類を作成と、採択されやすいポイントを押さえた詳細な事業計画書の作成が求められます。特に事業再構築補助金やものづくり補助金といった補助額の大きい補助金の場合は、申請準備に膨大な時間がかかることになります。未経験の事業者であれば、本業と並行して申請しようとすれば1ヶ月以上かかってしまう可能性もあります。申請代行を依頼することで、補助金の申請にかかる労力や時間を大幅に削減し、本業の経営に集中することができます。

(3)事業に関する相談ができる

補助金申請においては事業の合理性・収益性などを他者に分かるように事業計画書としてまとめる必要があるため、自社の事業を客観的に捉え直す良い機会ともなります。この際に申請代行を認定支援機関などに依頼していれば、同じような中小事業者の経営を数多くみてきた経験のある専門家から事業や経営に関するアドバイスを受けることができます

(4)補助金の知識や情報を得られる

補助金の制度は非常に複雑かつ、頻繁に募集要項や要件などが変更されます。そのため、ご自身で補助金の制度の全体や最新情報を把握することは非常に困難です。申請支援を行う業者によっては、補助金に関する相談を無料で行っているため、相談を受けるだけでも補助金についての知識や情報を得ることができます。弊社も、無料で補助金に関する相談を行っております。

▼補助金に関する無料相談はこちら

(5)資金調達先の紹介を受けられる場合がある

前述した通り、補助金は事業を実施した後に入金される後払いの形式が取られているため、補助金が入金されるまでの間の資金を事前に調達しておく必要があります。補助金の申請代行業者によって、融資先の金融機関等を紹介してくれる場合もあります。

補助金の申請代行の注意点・デメリット

補助金の申請代行を依頼する際の、注意点やデメリットは(1)悪質な業者が存在する、(2)どこまで代行してくれるのかと料金をよく確認する、(3)全てを代行してもらえるわけではない、(4)申請代行の費用を支払う必要があるの4つです。

(1)悪質な業者が存在する

残念ながら、補助金の申請代行業者の中には悪質な業者が一部ではありますが存在しています。悪質な業者に依頼してしまうと、補助金の要件に合致していないにも関わらず虚偽の書類の作成を唆されて、虚偽申請となってしまう可能性があります(補助金の不正受給や虚偽申請は重大な犯罪であるため、絶対に行わないようにしましょう)。また、補助金の審査の判断材料となる事業計画書を、過去の事業計画書のコピペで作成するなど、劣悪なサービスの提供を受ける場合もあります。

このような悪質な業者かどうかを見極める方法としては、代行を依頼しようとしている専門家が先に紹介した「認定支援機関」であるか行政書士等の国家資格を有しているかなどで、ある程度判断することができます。認定支援機関は国からの認定を受けた機関であるため、悪質な業者である可能性が低いです。国家資格取得者も資格を有しているほか、虚偽申請等を行うと資格を失ってしまう可能性があるため、悪質な業者でない場合が多いです。

認定支援機関についてはこちら

(2)どこまで代行してくれるのかと料金をよく確認する

補助金申請には様々な申請手続きや作業があります。そのため、提示された料金でどこまでサポートしてくれるのかは、契約締結時によく確認しておきましょう。サポート内容で具体的に確認すべき点としては、申請書類の作成のみを行うのかあるいは申請手続きまで代行してくれるのか、採択後の交付申請や実績報告とった手続きは含まれるのか、不採択となった場合の再申請は行ってくれるのか、などが挙げられます。

(3)全てを代行してもらえるわけではない

補助金を受給したいからといって、そもそもの事業内容を考えてもらうといった、いわゆる丸投げのようなことはできません。事業計画は事業者自身が立案するのが鉄則であり、全てを代行業者に丸投げするのは認められていません。あくまでも事業者へのヒアリングに基づいて申請代行業者が計画書を作成することになります。逆に、事業が全く決まっていないにも関わらず、補助金の申請支援を引き受ける業者は悪質な業者である可能性が高いです。

(4)申請代行の費用を支払う必要がある

当たり前ですが、補助金の申請サポートを受けるにはその報酬を支払う必要があります。ここで注意が必要なのが低額の補助金の申請支援を依頼する場合です。後で詳細に解説しますが、補助金の申請代行のは一般的に、着手金と成功報酬の2つを請求する料金体系となっています。成功報酬に関しては補助金の額によって異なる場合が多いですが、着手金は一律の場合が多いです。そのため、低額の補助金を申請する場合、着手金が多くほとんど補助金を申請する意味がないといった事態が生じる場合があるので注意が必要です。

補助金の申請代行の相場

申請代行の料金に国の規定はありません。そのため各業者が独自に価格を設定している状況ですが、平均的な相場をご紹介します。

着手金+成功報酬

補助金の申請代行の最もメジャーな料金体系は、着手金と成功報酬をそれぞれ取るものです。
着手金と成功報酬の平均的な相場は以下のようになっています。

着手金5~20万円
成功報酬補助金額の10~20%

成功報酬のみ

着手金+成功報酬の料金体系のほかに、着手金のみで成功報酬のみという料金体系の業者も存在します。この場合は事業者は採択された場合のみ料金を払うことになるため事業者側のリスクは軽減されますが、その分成功報酬の割合が高くなります。

補助金申請から受給までの一般的な流れ

よくある誤解として補助金が採択されたらすぐに振り込まれるというものがありますが、実際に補助金が振り込まれるのは事業が終わった後になります。これが原因で手元資金が足りなくなるなどの問題が発生することもあるため、問題を避けるためにも補助金申請から振り込みまでの流れを理解しておきましょう。

1.申請

まずは申請したい補助金を管轄している省庁や地方自治体のwebサイトで公募要領を確認しましょう。この公募要領に沿って必要書類をまとめ、事業計画書を作成して提出することで申請となります。

最近の補助金の場合は、デジタル庁が作成したjGrantsと呼ばれる電子申請プラットフォームを通じて申請を行うように指示されているケースがほとんどです。

▶jGrantsのサイトはこちら

また、jGrantsから申請を行うためにはGビズIDと呼ばれるものが必要になるため、補助金を申請する際には取得する必要があります。

▶GビズIDのサイトはこちら

2.審査

補助金の申請後は、各補助金を管轄する省庁や自治体によって1〜2ヶ月かけて提出した申請書類の審査が行われます。条件を満たしていれば高い確率で支給される助成金と違い、補助金の場合は支給額が高額で100万円から1億円近いものまであるため、審査も相応に厳しいものとなります。

3.採択・交付決定

審査を経て採択が決定された場合、採択された事業者に対しては採択通知が届きます。その時に改めて「1.申請」で補助金を申請した額から支給可能な額が通知されることになります(この際に申請額の一部が補助対象として認められないことなどもあります)。

採択通知を受け取った事業者側では補助対象額を確認し、経費の見積もりなどとともに交付申請書を提出します。その後、管轄官庁による交付申請の精査を経て交付決定となります。この段階では補助金が実際に振り込まれるわけではなく、交付決定とは「申請の通りに事業が行われれば決定額が補助事業終了後に振り込まれます」という意味合いのものになります。

▼交付申請に関しての詳しい解説はこちら

4.事業の実施

原則として交付決定後に事業を開始することになります。補助金によっては事業期間中に「中間検査」という形で事業状況の報告・書類整理状況の確認を求めるものもあります。

5.事業終了・報告書の提出

事業が終了後には事業の成果などをまとめて、実勢報告書と呼ばれる報告書等を所轄官庁に提出します。

▼実績報告に関しての詳しい解説はこちら

6.確定審査

事業完了報告書や補助対象となる取引の契約書・見積書・領収書などの一連の書類を管轄官庁が確認し、補助対象経費・補助金交付額を決定する検査を行います。

7.請求書の提出・補助金交付

確定審査で確定した補助金交付額に基づき、事業者は所定の様式で請求書を作成します。
これを確認次第、管轄官庁より補助金が振り込まれます。

補助金とは

申請代行の解説に加えて、そもそも補助金や助成金がどのような制度であるのかについても解説します。

補助金

補助金とは、国や地方自治体がそれぞれの補助金ごとに定めた政策目標の実現のために、その政策目標に沿った取り組みを行う事業者をサポートするための資金を給付する制度のことです。原則として返済が不要であり、事業における全ての経費が給付されるわけではありませんが、多額の資金を受給することができるため、中小企業者や個人事業主の方には非常に魅力的な制度となっています。ただし、一般的には、補助金の入金は事業を実施した後の後払いとなっているため、補助金が入金されるまでの事業を行うための資金はあらかじめ用意しておく必要があります。

補助金と助成金の違い

補助金と似た制度として助成金が存在しますが、両者に明確な定義が存在するわけではありません。しかし、一般的に補助金と助成金の違いとしては、①管轄、②補助対象、③支給額、④募集期間、⑤受給のハードル、⑥専門家の6点が考えられます。以下の表でその違いをまとめています。

補助金助成金
①管轄経済産業省が多い厚生労働省が多い
②補助対象設備・システムなど賃上げ・雇用など
③給付額多い(億を超えるものも)少ない
④募集期間短い長い
⑤受給のハードル高い(審査がある)低い(要件を満たせば受給可)
⑥専門家認定支援機関・中小企業診断士など社会保険労務士など

おすすめの補助金

ここでは、中小企業者、個人事業主の方それぞれに、おすすめの補助金や助成金を解説します。

中小企業におすすめの補助金

中小企業におすすめの補助金は、以下の3つです。

①事業再構築補助金
②ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ものづくり補助金)
③小規模事業者持続化補助金

それぞれの補助金の最新情報や公式サイトはこちら

▼事業再構築補助金の対象要件や補助額などのわかりやすい解説はこちら

個人事業主におすすめの補助金

個人事業主におすすめの補助金や助成金は、別記事にで詳しく解説しています。

▼個人事業主のための補助金・助成金はこちら

補助金の最新情報

ここでは主要な補助金の最新情報やスケジュールをまとめています。

事業再構築補助金

【第9回公募期間】

  • 公募開始:2023年1月16日(月)
  • 申請受付:調整中
  • 応募締切:2023年3月24日(金)18:00

▶公式サイトはこちら

▼事業再構築補助金がそもそもどのような制度か、要件、補助金額等を知りたい方はこちら

▼事業再構築補助金の最新情報や変更点はこちら

ものづくり補助金

【第14次締切】

  • 公募開始:2023年1月11日(水)17時~
  • 申請受付:2023年3月24日(金)17時~
  • 応募締切:2023年4月19日(水)17時

▶公式サイトはこちら

小規模事業者持続化補助金

【第12回公募】

  • 申請受付:2023年3月10日(金)
  • 申請締切:2023年6月1日(木)

▶公式サイトはこちら

まとめ

本記事では、補助金の概要や申請代行業者の種類、申請代行業者の選び方、申請の流れまでを紹介してきました。この記事で紹介した、申請代行業者の選び方のポイントや注意点を踏まえて、ご自身にあった申請代行業者を選んでいただけたらと思います。

▼補助金に関する無料相談はこちらから

村上貴弘

村上貴弘

東京大学経済学部卒。行政書士。在学中からフリーランスのコンサルタントとして中小企業、士業事務所の補助金獲得のコンサルティングを行なう。2019年株式会社meditips創業。2020年株式会社meditips取締役就任。2021年meditips行政書士事務所開業。現在はベンチャー企業や飲食店、製造業、建設業など幅広い企業の経営戦略立案や補助金申請支援を行なっている。

関連記事

TOP